解決志向でセルフ・ヘルプ!?

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解決志向アプローチ(SFA: solution-focused approach)は、ブリーフセラピー(短期療法、家族療法)から発展したカウンセリング法で、問題の原因や犯人(責任者)ではなく、解決像(どうなったらいいか)や例外(うまくいっていること)に目を向けることで、問題の解決や解決像の実現を目指すものです。

SFAやブリーフセラピーの背景には、コミュニケーション理論(やり取りについてのメタ理論、つまり、やり取りのからくりについての理論)や、ミルトン・エリクソンの催眠療法があることから、カウンセリングのネタばらしをしないことが一つの特徴です。

つまり、「~という理由で××という問題が生じているので、△△すれば解消しますよ」という説明はあまりしません。そのような説明があったとしても、その説明が文字通りの説明ではなく、クライアントを問題解決へ導くための何らかのトリックである可能性が高いです。

このような特徴から、SFAやブリーフセラピーの欠点の一つとして、セルフ・ケアに応用しにくいという点が挙げられます。セルフ・ケアというのは、基本的にはネタばらしを伴いますからね。

逆に、認知行動療法(http://bit.ly/2cALptp)やリラックス法(http://bit.ly/2cULNj0)は、きちんと説明(ネタばらし)して実施してもらうので、セルフ・ケアとして使いやすいわけです。


しかし!SFAも意外とセルフ・ケアとして使えると思うので、今回はそのご紹介です。


* 解決志向アプローチ(SFA)を活用したセルフ・ケア

SFAを活用したセルフ・ケアのステップは以下の通りです。

① 困っていることを書きだす
② 解決像を明確にする:もし奇跡が起きたら、どうなっていますか?
③ 例外を探索する:今たまには、もしくは、少しでもできていることは?
④ スケーリング:あまり困っていない状態を0、もう辛くて動けない状態を10だとすると今は?
⑤ スモールステップで行動計画:④で挙げた点数が1点だけ、もしくは、0.5点だけ改善すると今とどう違っている?
⑥ 資源の活用:解決像を実現するために活用できそうな自他の資源は?



例えば!「やるべきことがあり過ぎて困っている」場合のセルフ・ケアとしては以下のようになります。

① 困っていることを書きだす

やるべきことが多すぎる。今やっている研究のデータ解析。週末参加予定の研修の予習。週末の研修講師の準備。来週末の研修講師の準備。たまっているメールの返信。就活の履歴書。ずっとやりかけの翻訳。ずっと書きかけの論文…

考えるだけで頭が痛くなってくる…

② 解決像を明確にする:もし奇跡が起きたら、どうなっていますか?

ここはホッコりするステップです。一瞬現実を忘れて、夢の世界に逃避します。

奇跡が起きたら、根や寝ている間にすべて片付いて、明日はゆっくり家でひきこもって、溜まった録画を一日観ている。余った時間は、フール―の動画。

<問題が解決したことで、どんな良いことがありますか?>

最高だ…研究データの分析は終わって、発表の準備ができている。週末の研修講師の準備もバッチリで、早々に先方に送れる。週末の研修の予習が終わり、研修参加が楽しみ。来週末の研修講師の準備が終わり、内容をさらに練っている。溜まっているメールの返信ができてスッキリ。履歴書を書いて、スッキリ。ずっとやりかけの翻訳ができて一安心。ずっと書きかけの論文が欠けて、肩の重荷が下りる。

<さらに、そうなると、どんな良いことがありますか?>

研究発表の準備が進んで、発表後の論文化の構想を練っている。今週末、来週末の準備もすべて終わり、生活に余裕がある。毎晩追い込まれるということも無い。メールの返信もでき、事業の運営もスムーズに。翻訳が出版に近づく。翻訳と論文が終わると、長年のつっかえが取れて、楽になる。

③ 例外を探索する:今たまには、もしくは、少しでもできていることは?

研究データは一部できている。あとは、もう3分の1程度。分析が終われば、発表の準備はそう難しくはない。今週末の研修準備は、これまでの研修内容を組み合わせるだけ。週末の予習はまだ取り掛かっていないが、内容は、すごく新しいわけでは無い。すでに知っていることも多く、それをすること自体は苦ではない。来週の研修講師については、すでに構想は決まっている。時間も3時間と長いわけでは無い。溜まっているメールは、一つ一つは返すのにそれほど時間がかかるものではない。翻訳は苦労しそう。まとまった時間が必要。しかし、他の課題に比べ、時間的な緊急性が高いわけでは無い。論文についても同様。

④ スケーリング:あまり困っていない状態を0、もう辛くて動けない状態を10だとすると今は?

8点!

<10点じゃないのはどうして?>

まぁ、動けないわけでは無い。一つずつこなしていけばできそうな気がする。これまでも、切羽詰まった状況を幾多も乗り越えてきた。というか、課題が山積みなのはいつものこと。

⑤ スモールステップで行動計画:④で挙げた点数が1点だけ、もしくは、0.5点だけ改善すると今とどう違っている?

まず履歴書が書けている。

<そのためにできそうなことは?>

書き始めること。

⑥ 資源の活用:解決像を実現するために活用できそうな自他の資源は?

自分の資源としては、もう大変なことには慣れている。結局、仕事量を減らすこともできるが、減らすよりは、6割、8割の力で全部をこなした方がいい。

他者、環境の資源としては、色々と手伝ってくれる人はいる。物理的に、時間的にも、何とかならなくはない。


ふぅ。ということで、セルフ・ヘルプ(ケア)終了!

切羽詰まっているときって、「やばい、やばい、やばい…」と視野が狭まってしまっていることが多いですよね。SFAでホッコりすることで、現状の打開策が見えてくるはずです。

認知行動療法は、熟達するまでに少し期間を要しますが、こちらはすぐにでも効果が実感できるはず!お勧めのセルフ・ヘルプ(ケア)法です!ぜひ試してみてください。感想などコメントいただけるとありがたいです。


実践サイコロジー研究所 代表
木内 敬太

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